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~建ちく うん築 熊谷じゅく~

1/100のスケールで30戸の住宅とシンボルツリーのある緑地…
1.2m円形の“熊谷宿”にて

「あついぞ 熊谷 エントリー事業」
第1回 “気象台発”(熊谷地方気象台にて)
平成16年11月19日
講師:熊谷地方気象台 防災業務課調査官 高田光治氏
埼玉建築士会大里支部 岡田好勝氏

 熊谷の気候、風土を学び、模型を用いて日照・風の通りなどを考慮しながら自分の敷地内に自邸を配置し、植栽も同時に考えましょう。
 熊谷市が近年、高温多湿なのはフェーン現象(山から吹きおろす乾いた熱風)によるものと、都心のヒートアイランド現象(海からの風が首都圏で熱せられて吹いてくるもの)と思われます。また冬には、おなじみの赤城山から「からっ風」が吹いてきます。その暑さ、寒さをしのぐにはどんなことに注意して、住まいづくりをすればよいのでしょうか。

 ① 軒の出を60センチ以上取ることによって、夏の日差しを遮り、冬の日差しを屋内に取り込むことができます。

 ② 冬には北西からの風が強く吹きます。北西の窓は小さめにします。また建物の北側に植栽(20m程度の樹木や生垣など)を設けると風除けになりますし、夏には温度差ができ建物に冷たい空気の流れが生まれます。ブロック塀は輻射熱により建物に温度の影響を与えてしまいます。

 ③ 風の通り道ができるよう、隣地の建物の配置とも合わせて考えましょう。

 ④ 夏、日よけに使ったすだれやよしずは冬には、北側の窓にかけると輻射熱による温度の変化をおさえることができます。

 以上のことをふまえて、30名の皆さんが一区画6軒6名で自分の家だけでなく、隣地も含めて家作り街づくりを考え始めました。建物を互い違いに配置したり、風の通り道を作ったりと樹木や生垣を配置し、景観も良くなり街らしくなってきました。今回はまだ真っ白の模型でしたが、皆さん久しぶりの工作を楽しんでおりました。



第2回 “街のぬりえ”(熊谷まち歩き、星渓円から中央公民館まで)
平成16年11月26日
講師:前橋工科大学教授 樫野紀元氏

 街の色? 建築士である私たちも、間取りや設備が優先で色については二の次でした。施主さんの好きな色。それが基本でした。
 人は子供のころ過ごした環境が生涯の価値観をつくる元になるという説もあるほど、住空間や、地域の環境は大切なものです。心の安らぎや支え、ゆとりが生まれるような建物とはどんなものなのでしょうか。

 ① 日本人は古くから木や土、石などを用いて建築をしていますので、茶色や灰色、緑色などが鎮静効果もあり落ち着くそうです。

 ② 建物の外壁や屋根、門や塀にこのような色を使用することで、一つ一つの建物は違う色でも、基本となる色から外れなければ街としての統一感が出て、その地域に住む人、通る人まで心やすらぐのです。そしてその住宅地の格が高くなります。

 ③ 地域で造られた素材(材木や石、古木)を使うことで環境に配慮し、また心のゆとりが生まれます。

 以上の説明を受けたあと、30名の皆さんが自分の家だけでなく、30件の団地として家作り街づくりを考え始めました。話し合いにより屋根は黒系、外壁はベージュ系に決定。一人一人の住宅はそれぞれ違っていましたが、30件揃うとなんと美しい!この環境で育った子供は、豊かな感性の持ち主となること請け合いです。
 さて最終回、熊谷宿はどんなフィニッシュを迎えるのでしょうか。



第3回 “熊谷宿着”(第3なでしこ保育園・子育て支援センター)
平成16年12月3日
講師:埼玉県警本部 生活安全課 防犯指導班 ひまわり
    (株)マヌ都市建築研究所 副主任研究員 亀山恒夫氏
    埼玉建築士会大里支部 塚本勝也氏・大島健次氏

 最後に帰着するのは安心して暮らせる街・家。住みやすい安全な街づくりを実例をとうして学びましょう。
 私たちは家の中だけでは、生きていけません。家だけでなく街が安心な場所にするためにはどうしたら良いのでしょうか。建築とは関係ないと思っていませんか?でも家を作るときに少し気を付けることで、街が安心、安全になるのです。

 ① 家を配置する際、他の家から玄関が見えるようにすること、家の周りに砂利を敷くことなどで空き巣が入りにくくなります。また、道路で子供が遊んでいたり、通行人同士が挨拶をすることで不審者が近づきにくくなります。

 ② 花壇を道沿いに作り通行人が花をみることでも防犯になります。また子供の登下校の時間に合わせ、水遣りを行うと安心につながります。

 ③ 玄関灯を道沿いの家で揃って点けることで、街灯の少ないところでも明るくなります。

 ④ 家の裏手にはセンサーライトをつけます。そのライトがつくことで、他の家に不審者がいることを知らせることができるような場所につけることがコツです。

 3回目ともなると、同じグループはもとより30人全員がこの架空団地を良いものにしたいと一つになって、建築だけでなく人とのつながり“コミュニティー”が大切であることが判ってきました。グループの中では、隣家と庭を共有できるよう柵を外したり、道路沿いにベンチを設けたりと様々な工夫がされました。自治会もうまれ会長も選出されました。
 この団地が、いつか熊谷の街に本当にできたらどんなに素晴らしいでしょう。家づくりと街づくりは人づくりにもつながるのですから。



~参加者の声~
  • グループで相談しながら屋根の色、壁の色植栽等、楽しく勉強できました。
  • 気象台を始めて見学することができ大変ためになりました。
  • 熊谷の夏は現代病的気象なのだと感じました。
  • 中仙道に商業街路を戻して駅から2キロ圏内に今回の団地を造成したい。
  • 県警の劇が印象的。自分でできる防犯が役にたった。
  • 熊谷の街は駅の方と西の方では大変違います。もう少し調和が取れた街なら良いと思います。
  • 講習がこんなに楽しいものとは思いませんでした。
  • 防犯について、建物廻りのものに様々な注意が必要なことが判りました。
  • 樫野先生の講義は学生に戻ったようで新鮮でした。色ぬりはもっと若返ったような気分でした。
  • もっと若い人たちにも参加していただければ良かったのに…
  • 駐車場がないのには本当に困りました。
  • 庶民的なプログラム、タイムリーなテーマ、グループ化しての修得方法等全ての面で感動しました。
  • みんなで仕上げた街を見て、近所の方と話し合いが実際にできれば本当に明るい街ができると思いました。
  • 期待以上。とても楽しかった。(チームで簡単ながら作り上げたことが)
  • 街は「ハート」が「フル」でないと成りたたないんだよねぇ。


第1回 完成






街の色 見学中






街のぬり絵






花壇つくり






第2回 完成






第3回 完成






街灯がともると…






熊谷宿の皆さん

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